下げるだけではのれんにあらず

のれん・・・

この言葉にはいろいろな響きがある。

 

一種独特な感覚をおぼえると同時に、誰もが日本的な伝統のようなものを感ずると思う。

 

また昔から、

「暖簾に腕押し」「暖簾にもたれるよう」など、事柄の例えとしても使われているし、

「暖簾わけ」「暖簾を受け継ぐ」などの、アイデンティティーのひとつの表現としても使われている。

 

そういう意味で、のれんとは、一種「精神」のような意味合いがあるかもしれない。

 

 

というようなことを言うと・・・

いかにも日本人的であるが、もともと日本人は大切なものや行為に精神を宿す。

 

例をあげればきりがない・・・

 

例えば海外で中世の武器博物館など見て歩いても、並んでいるものは戦う道具、人を殺す道具とのみ感じてしまい、ただごとでは無い恐ろしさが伝わってくるが、日本のそれは芸術とまで感じてしまう。

 

例えば似たような民族として語られる事が多いドイツ人。

ある人がポルシェの工場に行って、そのものづくりに対するこだわりに感心していると、

 

「何がいいのか?」 と問いかけられた。

「おたくの車にはあじがある」 と答えると、

「??鉄をなめてもなんの味も無いじゃないか?」(笑) と言われたという。

 

 

日本人と欧米人、どちらがどうかでは無く、

明らかな違いに、日本人とはなんと独特な文化と感性をはぐくんで来たものかと感ずる。

 

これら常日頃思っていることが山ほどあり、最初から少々脱線してしまった。

だがこの話題はたくさん関連することがあるので、

またの機会にし、本題の「のれん」の話へといきましょう。

 

ようするに「のれん」は、旗印?文化?いろいろな意味で重要なのである。(笑)

 

 

私の師匠が常日頃言っていたことのひとつに・・・

 

「どんなにおいしいネタやシャリを持っているすし屋も、

     のれんをくぐってもらわなければ意味がない!」 というのがある。

 

 

これは私自身、仕事を通じて嫌というほど経験してきたことのひとつである。

 

例えば値段の高いすし屋が、アブラで汚れたような「のれん」を下げたり、

小さくてきゃしゃな印象の「のれん」、

また「のれん」に表現している文字等にそれなりの威厳を感じなければ、

料金に見合った店格にはならない。

 

また店全体にビジュアルがアンバランスで、料金との関係が不つりあいだと、

料金も不思議と「高い」という印象になり、客はまた行くかどうかを考えてしまう場合がある。

但し、味がまずいのは論外の話しであるが・・・

 

そして、

「うちは味がいいから大丈夫!」というのも、大いに客を逃す原因の一つになる。

飲食店、味はもちろん大切であるが、「総合力」を身に着ければ、

もっとパワーがあり、長続きする店へと変身できるのである。

 

 

ファーストインプレッションはコンマ数秒で決まるといわれている・・・

 

これはまったく(客にとって)イメージだけの問題?なのであるが、、、

(店側は)これを軽視すると大変な事になる。

私は事あるごとにこのようなことに触れているが、

 

店の「つもり(はずだ)」 と

客の「つもり(はずだ)」 は結構違うことが多い。

 

行く店や目の前の店を選ぶ際、考える前に身体で直感的に選別していることも多いのは事実だ!

 

 

自分自身のことを考えてほしい!

人間の行動のほとんどは、イメージが支配しているのである。

 

そのイメージがズレているとき・・・

良いほうに裏切られる分にはまだいいが、その逆は非常に居心地が悪い。

そしてイメージはその後もその人の頭の中で一人歩きし、

さらに違うイメージをつくってしまう事も多い。

 

 

例えばアメリカのある調査でも、

店の悪いうわさは、良いうわさの数倍、他人に話す確立が高かったのだそうだ。

これもイメージが支配している部分が多いのではないだろうか。

 

 

店に対するイメージってなんだ?

ここにビジュアルな要素が非常に大きい位置をしめるのは、理屈でなく私が実践してきた事実です。

 

しつこいようであるが、「人はイメージで行動する!」

 

逆に言えば、これを利用しない手は無い。

そしてこれを利用することは、

もっとも手っ取り早い、場合によっては非常にローコストな方法なのである。

 

 

欧米の企業がなぜビジュアル(見てくれ)に力を入れるか?

 

狩猟民族である彼らは、その費用対効果を十分理解して能動的に対処しているのである。

日本人(農耕民族)と

欧米人(狩猟民族)との、

ビジュアルに対する感覚は、当然基本的な部分で違っている部分が多い。

これらについての私の意見は、

長くなるのでまた別に時間を持ち、ここではこれ以上触れずにおきたいと思います。

 

 

ゆられ(移動)ながら書いたので、ちっともまとまりの無い文章になってしまいましたが、

 

言いたいのは・・・

 

基本的に人はイメージで動くので、目に見えるものがいかに重要なその要素となるか。

そして行動(店に入る)するかどうかを決める動機づけとして、

ビジュアルは最も重要かつ確実な要素のひとつとなる。

 

そしてファーストインプレッションは、

そのかなりの部分を支配してしまうということである。それは対人関係とも非常に似ている。

 

 

・・・余談です。

コレも利用しない手はないもののひとつ。

 

人間最も記憶に残り、その記憶に関連を見出すものは、

 

 「におい」である。

 

町で人とすれ違ったときに香った香水やコロンの「におい」に、誰かを思い出したり・・・

どこかで何かのにおいに、アレ?なんだったかな?

といったような記憶をたどるような経験は誰もがしていると思います。

長くなったので、この話題もまた別の機会に・・・。

 

換気の悪い店、

何か異臭がするような店、

トイレがくさい店などなど → リピーターは決して望めませんよ。(特に女性の)

 

 

そうそう、、、安くておいしい中華店などの「のれん」は、

アブラギトギトで自然な汚れ?(笑)の印象が逆にうまさの演出になることも大いにあります・・・。

ビジュアルとは一律でありませんし、人のイメージも、打ち出し方ひとつで違ってしまうものです。

弱点を強みに、「あばたもえくぼ」的な発想もありますし、店の運営はアイデアをしぼりだして、

日々悩まなければいけませんね。